日本の企業がグローバルヘルス支援を要請
2023年4月21日、渋澤健氏が代表を務める「グローバルヘルスを応援するビジネスリーダー有志一同」が福岡資麿厚生労働大臣を訪問し、グローバルヘルス分野における日本の企業活動とODA(政府開発援助)の支援拡大を求める要望書を提出しました。これは、企業の活動が国際的な健康問題の解決に寄与するための重要なステップとなります。
要望書の概要
有志が提示した要望書には、厚生労働省が実行すべき6つの具体的なアクションが記されています。
1.
研究開発の強化: 日本の創薬基盤を中心に、途上国のニーズを考慮した研究開発環境を整備し、国際的な健康問題の解決に貢献する。
2.
製品調達の促進: 日本企業の製品やサービスが、国際機関での調達において優先的に取り扱われるよう、政府がサポートする。
3.
国際会議でのコミットメント: TICAD 9において、日本のグローバルヘルスに対する役割を明確にし、支援の拡大を表明する。
4.
ODAの戦略的な拡大: 日本のODAの中でグローバルヘルス分野への支出を増加させ、その資金を民間投資に活かす。
5.
国際機関への拠出金の強化: 外務省と連携し、日本企業の意見を反映させた形で、国際機関への資金拠出を行う。
6.
国際保健外交の推進: 関係省庁と連携し、国際保健人材の育成を強化し、オールジャパンで国際保健外交を展開する。
メッセージと企業の取り組み
要望書には、参加企業の代表者たちからのメッセージも寄せられています。渋澤健氏は、グローバルヘルスへの支援が国民のためにもなるという意識改革の重要性を強調しました。また、豊田通商の加留部淳氏は、アフリカでの医療支援の実績を紹介し、グローバルヘルス促進における取り組みの重要性を述べました。
内藤晴夫氏(エーザイ株式会社)は、産業競争力の強化が緊急に必要であるとし、グローバルサウス市場へのODAと産業との協力を訴えました。さらに、SORA Technologyの金子洋介氏は、ドローンやAIによるマラリア対策への貢献を紹介し、国際保健へのイノベーティブなアプローチの必要性を強調しました。
日本電気株式会社の田中繁広氏は、デジタル技術を活用したマラリアワクチン接種のプロジェクトに触れ、テクノロジーが持つ可能性を語りました。シスメックスの蛭田嘉英氏は、グローバル南部の医療課題に取り組むための血液検査機器の開発を述べ、富士フイルムの松田周作氏は、結核対策に関する自社の製品の貢献について語りました。
最後に、ゲイツ財団の柏倉美保子氏は国際的なODAの拠出減がもたらす危機を指摘し、ワクチン接種が人命を守るうえでの重要性を強調しました。
結論
この要望書の提出は、グローバルヘルスに対する日本企業の本気の姿勢を示しており、今後の国際的な健康問題への貢献が期待されます。官民協力による持続可能な支援が必要不可欠である中で、日本の企業が果たすべき役割はますます重要になっています。