東京農業大学新学生寮「青雲寮」が竣工、木の効果を実感する空間に注目

東京農業大学の新しい学生寮「青雲寮」が竣工

東京農業大学（以下、東京農大）の世田谷キャンパスに新たに建設された学生寮「青雲寮」が、3月に陸上競技部の学生を迎え入れる準備を整えました。建物の設計・施工を手掛けたのは、住友林業株式会社。この寮は純木造の3階建てで、国内産の木材を使用していることが特長です。また、奥多摩演習林の木材を活用しているため、地域とのつながりも持っています。

学生の心身の健康を支える

「青雲寮」は、心身の健康を支えるために木材の特性を最大限に活かした空間作りを目指しています。特に、木材は心理的ストレスを緩和する効果や、調湿・抗菌作用があるとされています。これは長距離走を専門とする東京農大農友会陸上競技部にとっても大きなメリットです。過去の箱根駅伝出場経験を持つ陸上部の学生が、心身ともにリラックスできる環境で効率的なトレーニングを行えることが期待されます。

国産材を活用した持続可能な建築

「青雲寮」では、約300立方メートルの木材が使用され、その7割は国産材です。この中の約3割は学生の実習に利用される奥多摩演習林から伐採されたものです。木材は外壁や食堂の柱・梁といった部分に用いられ、学生は建材の生産から利用までを体感することができる機会が提供されています。また、この純木造の学生寮が固定するCO2量は316.874トンに及ぶと試算されています。

木がもたらす効果の検証

住友林業の筑波研究所は、木材や緑が心身に与える影響についての研究を行っています。過去の研究から、木がもたらす視覚、触覚、嗅覚からのリラックス効果や免疫力向上のデータを得ています。今後、「青雲寮」入寮者の心理的・生理的状態を測定し、木造建築が心身の健康や競技パフォーマンスに与える影響についての評価を行う予定です。この結果は2026年に発表される見通しです。

落成式と今後の展望

2月25日に行われた落成式には、東京都やメディアの関係者約60名が参加しました。江口理事長から住友林業に感謝状が贈られ、地域や大学とのコラボレーションの大切さが強調されました。「青雲寮」の完成により、東京農業大学は木質建築の価値向上を図っていくと共に、持続可能な社会づくりにも貢献していく主旨を発表しました。