夏の風物詩「蚊取り線香」の進化とライオンケミカルの挑戦

夏の風物詩「蚊取り線香」の進化

6月4日、「虫の日」には、日本の夏に欠かせない蚊取り線香の存在を再認識する良い機会です。中でも、ライオンケミカルが製造する蚊取り線香は、その香りと効果で多くの人々に愛されてきました。しかし、その裏には長い歴史と知られざる進化の物語があります。

蚊取り線香の故郷、和歌山県有田市の物語

蚊取り線香の故郷とも言われる和歌山県有田市。この地で、140年以上の歴史を持つライオンケミカルは、世界初の「蚊取り線香自動製造機」を開発しました。それまでは手作業で生産されていた蚊取り線香ですが、自動製造機の導入によって大量生産が可能になり、品質も安定しました。熟練の職人たちがその技術を受け継ぎ、伝統と革新を融合させた製品を作り続けています。

猛暑の影響と新たな動き

近年、異常気象による気温上昇が続く中、蚊の行動パターンも変わってきています。過去には夏の風物詩だった蚊も、酷暑を避け、春や秋にも見られるようになりました。このため、ライオンケミカルは通年で蚊取り線香を製造し、ニーズに応じた改良を行っています。

アウトドア向け蚊取り線香の誕生

新たに開発された「ライオンかとりせんこうプレミアム厚太」は、蚊取り線香の新たな進化を象徴する製品です。このアウトドアタイプは、厚さが従来の約2倍もあり、屋外でも効果を高めることが認められています。特にキャンプやバーベキュー時に重宝され、多くのユーザーから好評を得ています。

除虫菊の力

蚊取り線香は、除虫菊から抽出した成分「ピレトリン」が主成分です。この植物は1694年に発見され、日本に初めて紹介されたのは1881年。和歌山県の農家は、この植物の商業栽培に成功し、やがて製造工場も次々に誕生しました。こうして、有田市は「蚊取り線香発祥の地」としての地位を確立しました。

進化する技術と挑戦

「厚太」の開発には、長年の経験が詰まっています。技術者たちは、蚊取り線香の有効成分を最大限に活かすことに苦心し、試行錯誤を重ねました。煙の出方や成分の揮発も考慮し、広範囲で効果を期待できる新しいフォーミュラを確立しました。

製造の裏側

完成までの道のりは平坦ではありませんでした。特に、厚さを持たせることによる製造時の課題や、乾燥のプロセスなど、様々な問題が発生しました。製造技術者たちは、旧来のノウハウを活かしながら、細部にまでこだわりを持ち、改良を続けました。最終的には、新しい金型を使用することで量産体制が整い、2025年現在まで続く生産が可能となりました。