日本政府とUNICEFが支援するインドネシアの子どもたち
2025年2月24日、ジャカルタ発のニュースによると、日本政府は国連児童基金(UNICEF)を通じて、インドネシアのパプア州における教育と栄養の支援に、5億600万円の無償資金協力を行うことが決定されました。このプロジェクトは、特にパプア州ビアクの子どもたちを対象に、無償の学校給食を提供するとともに、学習や生活の質を向上させることを目指しています。
この支援が実施されることによって、幼い子どもたちは、乳幼児期の子どもの発達を促進するセンターや小学校で、質の高い学習と栄養、発達の機会を享受できるようになります。具体的には、子どもたちが健康に成長し、充実した教育を受けるために必要なサービスを包括的に提供することが計画されています。
インドネシアの教育や健康へのアクセスの向上は進んでいるものの、地域間格差が存在していることは否定できません。特に、パプア州は学習成果の面で同年代の子どもたちには劣っており、栄養不良による発育上の課題に直面しています。これらの課題に的確に対応するためには、すべての子どもたちが質の高い社会サービスを享受できるようになることが求められています。
このプログラムの立ち上げにあたり、正木靖駐インドネシア共和国日本国特命全権大使は、「日本が持つ100年にわたる学校給食の経験を生かし、インドネシアの学校給食制度に貢献できることを目指しています。また、日本の国際協力機構(JICA)が推進している漁港や冷凍施設の開発と連携し、地元の食材を積極的に活用していく考えです」と語りました。
この2年間にわたる無償資金協力によって、UNICEFはパプア州の県当局を支援し、乳幼児期の発達センターや小学校に通う子どもたちに対して、地元産の食材を使用した栄養価の高い学校給食を提供します。これにより子どもたちの発育に必要な栄養が確保され、さらに保護者への指導を通じて、家庭での適切な栄養管理に関する知識の普及も図ります。
また、教員の専門的な能力開発や、教育現場での指導の質を高めるための研修も実施され、親や保護者への啓発活動も進められます。持続可能な栄養価の高い無料学校給食プログラムを設計・計画するためにも、政府職員に対する研修や能力開発が行われるため、本事業の長期的な効果が期待されることとなります。
UNICEFインドネシア事務所の代表、マニザ・ザマン氏は、「すべての子どもはその可能性を最大限に伸ばす権利を持っています。そのためには、質の高いサービスへのアクセスが不可欠です。栄養価の高い食事と育成に適した学習環境は、子どもたちの健やかな成長と未来の成功にとって重要な要素です」との見解を示しました。
このプロジェクトにより、2,500人の就学前または小学生に対して栄養や教育の支援が行われ、教育関係者や保護者も同様に適切な知識を得ることができます。合計270人の政府職員や、学校給食に関与する調理チームがこの取り組みに参加し、経験を積むことが期待されています。そして政策立案者への能力開発を通じて、高品質な学校給食プログラムの持続可能性が確保されることが目指されています。
このように、教育と栄養の統合的アプローチを持つこの事業は、日本とUNICEFとの協力の成功事例となるでしょう。これは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた教育環境の改善を含むもので、パプア州での子どもの栄養支援という具体的な課題に挑むものです。
UNICEFとは
国連児童基金(UNICEF)は、すべての子どもが健やかに成長し、権利が守られる社会を目指して活動する国連機関です。現在、190以上の国や地域で、困難な状況にある子どもたちを支援しています。UNICEFの活動資金は、企業や個人からの寄付で賄われています。日本における活動の拠点として、東京事務所が国際協力を推進しています。