ロベコが発表した世界気候投資調査について
2025年6月4日に発表されたロベコの第5回世界気候投資調査は、全体300名の投資家を対象に実施されました。この調査では、投資家の気候投資に対する姿勢、政府政策の影響、地域によるギャップなどが浮き彫りになっています。調査は、欧州、北米、アジア太平洋地域に拠点を置く機関投資家や金融商品仲介者を対象に行われ、各地方の投資戦略や協力体制がどのように変わってきているのかを探りました。
トランプ大統領の政策と投資家の反応
調査によると、投資家の56%がドナルド・トランプ米大統領の化石燃料推進や反クリーン・エネルギー政策がネットゼロへの移行を妨げる懸念を抱いています。特に、米国における政策の変化は7割近くの投資家に影響を与えると考えられています。今後の政策課題については、約59%の投資家が見守っている段階であると回答しました。特に欧州(58%)やアジア太平洋地域(62%)の投資家は、気候影響の強い分野への投資を考える上で米国外へ目を向ける可能性があると示しています。
政府の支援に関する懸念と地域差
本調査の結果、ネットゼロを達成するための政府の支援に一貫性が欠けているとの懸念が高まりつつあります。多くの投資家が2050年までのネットゼロ目標を掲げている中で、政府の政策がその目標に追いついていないと感じています。このような不均衡は投資判断に不確実性をもたらしており、より信頼性のある政策の必要性が訴えられています。
地域による政策の違いも顕著に見受けられます。アジア太平洋地域や北米では71%の投資家が支援策の欠如を大きな障壁と考えていますが、欧州ではその数は25%にとどまり、法律や規制は比較的整備されている状況です。
気候投資の位置づけ
気候変動を投資方針の優先事項とする投資家の割合は、欧州62%、アジア太平洋59%に対し、北米は23%と大きな差があります。投資戦略において気候変動が果たす役割は地域によって大きく異なることが示されています。ロベコの気候・生物多様性ストラテジスト、Lucian Peppelenbos氏は、サステナブル投資が長期的な成果をもたらすために必要不可欠だと強調しています。
結論
ロベコの調査結果は、投資家の気候投資への姿勢が変化し、政策の整合性が低下している現状を浮き彫りにしています。投資家は不確実性と直面しており、ロベコでは投資家が持つさまざまなニーズに応えるサポートを提供することが重要であるとしています。気候投資が未来の投資判断にどのように影響していくかを見極めることが求められています。