楽天が新たに発表したAIモデルの全貌
楽天グループ株式会社(以下「楽天」)が、最新の言語処理技術を駆使した2つの新しいAIモデル、すなわち「Rakuten AI 2.0」と「Rakuten AI 2.0 mini」を発表しました。これらのモデルは、日本語に最適化されており、企業向けのアプリケーション開発を支援することを目的としています。これによって、AIを活用した新しいサービスの創出が期待されます。
Mixture of Expertsアーキテクチャを採用
「Rakuten AI 2.0」は、Mixture of Experts(MoE)アーキテクチャを基にしており、8つの70億パラメータを持つサブモデル「エキスパート」で構成されています。この構造により、最適なエキスパートのみが活性化され、高度な推論が可能となります。一方で「Rakuten AI 2.0 mini」は、15億パラメータを有する小規模モデルで、より軽快で迅速に利用できる点が特長です。
高性能な日本語処理能力
両モデルは、日本語での会話や指示に対する応答能力を高めるために、最新のファインチューニング手法であるSimPO(Simple Preference Optimization)を採用しています。この手法は、従来のRLHFやDPOと比較して、作業効率や安定性が高く、企業がコストパフォーマンスを抑えながら高品質なAIを実現する手助けをします。
日本語版MT-Benchというベンチマークを用いて評価を行ったところ、「Rakuten AI 2.0」は同規模の他モデルと比べても最高のパフォーマンスを誇り、「Rakuten AI 2.0 mini」も同様に優れた結果を得ています。これらのモデルは、テキスト生成の多岐にわたるタスク、例えばコンテンツの要約や一般的な質問への回答などに活用でき、商業利用が見込まれています。
日本におけるAIの発展をサポート
楽天のChief AI & Data Officer(CAIDO)であるティン・ツァイ氏は、「私たちの新たなAIモデルは、企業が迅速に価値を実現するための有効なソリューションとして機能します」と述べています。また、彼は日本の企業がAIを用いることで新たなサービスや製品を創出し、成長していくことを応援するコミュニティの構築に力を入れていると強調しました。
AI技術のさらなる進化に向けて
楽天は、AIをテーマに「AI-nization」という造語を掲げ、ビジネスのさまざまな分野でのAIの導入を推進しています。この新しい取り組みによって、さらなるデータ活用やAI技術の発展が期待され、日本のAI市場に新たな風を吹き込むことでしょう。
まとめと今後の展開
今後も楽天は、日本語に最適化されたAIモデルの研究と開発を進め、新たな選択肢を模索していく方針です。そして、社内ではLLMに関する知識と専門性を高めることで、「楽天エコシステム」の強化を図っていくことでしょう。これにより、世界中の人々に新しい価値を提供し続けることを目指しています。